どうして赤色は赤く見えるの?〜「文系でもよくわかる 世界の仕組みを物理学で知る」松原隆彦〜
今回は、物理の世界に想いを馳せてみようと思う。
なぜなら、自分自身がただ単純に全く知らない分野だからの一言に尽きる。
大学受験では生物を選択して、ろくに数学も出来ぬまま行きたい学部が理系だったため理系を名乗っている人間だからだ。
数Ⅲの加速度と速度と道のりを求める単元(微分・積分)があったが加速度からして理解しておらず式に当てはめて終了していたので、もっと根本から分かっておかないとすぐに忘れるだろうと思っていたのだ。
そこで本を読んで少しでも自分の知らない世界を考えてみようと思い、備忘録的な要素の強いブログを書いていきたい。
「文系でもよくわかる 世界の仕組みを物理学で知る」松原隆彦(著)
文系よりの私でも手軽に取れそうなタイトルに惹かれて読んでみた。
筆者は宇宙物理学を専攻していらっしゃる生粋の物理学者。
物理学自体ピンと来ないが、筆者はこの本の中で
物理学とはこの世の中の仕組みを知ろうとする学問だ。
同じように世の中の仕組みを知るためのものには、化学や生物学などいろいろあるが、なかでも、根本的なことをどんどん突き詰めていくのが、物理学である。
と述べている。
確かに、受験勉強で勉強した化学や生物は「今ある現象から何が言えるのか 」という後付けの論理の比重が大きい学問だが、
物理はその2つのもっと根本的な「なぜそうなるのか」を突き詰めている学問だと納得できる。
また、この本では私たちが日々生きている実生活においても物理の知識はたくさん使われていることを詳しく説明してくれているのだ。
具体例を示していこう。
どうして雲は落ちないの?
雲は雲粒と呼ばれる小さな水の粒々の集まりで出来ている。
(雲は水蒸気では出来ていない。なぜなら水蒸気だと目には見えないからだ。)
雲は体積が大きいため空気抵抗はあるものの、軽いためあまり加速度は速くならない。
よって空気抵抗の方が重量加速度(9.8m/s^2)よりも大きくなるため浮いているのだ。
化学だと力については全く考えないため、このような分析は出来ないだろう。
雲は水の粒々で出来ていることを「物質の三態」という単元で習うぐらいがせいぜいだろう。
どうして赤色は赤く見えるの?
物理学の観点から、この質問を説明するためには「波長」がキーワードになる。
物に当たった太陽光や照明のうち、吸収できずに反射された光を見ている。
また、波長が長い赤色はまっすぐ進み、波長が短い青色は拡散するなど色によって波長は異なる。
しかし、生物学では同じ現象でも、色を識別する「錐体細胞」と明暗を識別する「桿体細胞」の2つがあり、錐体細胞が赤色の波長を感じて赤色だと認識すると学ぶ。
このように、同じ事象でも見方が全く違うのが科学の面白い部分なのかもしれない。
どうやって液晶ディスプレイは色を発しているの?
普段の生活には欠かせないスマホやテレビなどに必ずと言っていいほど使われている液晶ディスプレイ。
液晶ディスプレイの仕組みも実は物理学を応用しているのだ。
液晶というのは、液体と固体の中間の物質である。
化学では「物質の三態」の単元で「超臨界流体」という固体でも液体でも気体でもない物質の状態があるが…
2枚の偏光板(縦・横)を電圧をかけたりやめたり、強さを変えることで動かし液晶分子の配列を変える。
そうすることで、特定の光を遮断したり強めたり弱めたりして光の三要素である「赤・青・緑」を発しているのだ。
感想
自分には縁遠いと思っていたものの、実生活において普段は意識したことのないところで物理が応用されていたということに気づけたため、少し興味が湧いた。
しかし、原理を学ぶのはすごく難しいイメージがまだ拭えておらず…
高校で勉強した物理基礎が難しかった印象があるため、どうしても二の足を踏みがちですが、様々な本から少しずつ勉強してみようと思う。
現代社会ではIT化が進んでおり、スマホやPCなど電子機器に囲まれて過ごす機会が多くなった。
しかし、使っているにも関わらずスマホやPCの縁の下の力持ちである「液晶ディスプレイ」など全く知識のないまま、使ってる。
だからこそ、物理が日常生活に大いに関わっていることがこの本によって改めて気付かせてくれた。
また、同じ現象でも生物学から、化学から物理学からとみる視点を変えることで色々なことを多角的に捉えることも面白いなと思った。
日本の研究形態は分野ごとに細分化されており、他の分野の人同士の交流が少ないように思える。
科学としてひとくくりに多方面から物事を捉えることで、面白い発見ができるのではと期待している。