なぜ日本語は難しいのか〜「日本語の宿命」薬師院仁志〜
今回は、日々私たちが何気なく使っている日本語について考えてみる。
しかし、平仮名・カタカナ・漢字の3種類を使いこなすのは日本語を母語として使う私たちにとっても難しいことだ。
外交官などの専門職を養成する米国務省機関である外務職員局の調査によると
日本語は、難易度カテゴリーの最高位であるカテゴリー5に、アラビア語・中国語・韓国語とともに含まれている。
カテゴリー5は2200時間(約2年)の勉強が必要であるようだ。
そこで、「なぜそんなに難しいのか」を日本の学問の歴史を通じて学んでいきたい。
(筆者は最近、外国人に日本を教えるボランティアをしている。
なかなか楽しいもので日々そんなこと考えていなかったような事も論理的に説明しなければならない新鮮さがとても楽しいと感じている。)
「日本語の宿命」薬師院仁志(著)
この本は、外来語を受け入れる力量が高い日本語の、外来語を取り入れた歴史による弊害が事細かに例を挙げながら説明されている。
時代は、文明開化と呼ばれた明治時代に遡る。
日本の技術や文化を向上させるために、
明治時代の学者たちは外国の言葉を積極的に取り入れ、それに日本語訳を当てはめて文学に浸透させ始めた。
しかし、色々な学者が同時期に様々な外来語を盲目的に訳し取り入れたため、
日本語との概念の相違がどうしても拭えなかった。
だから同じ語源でも日本語では別々の意味となって浸透し、明確な定義がわからなくなってしまったのだ。
このように日本語の難しさは、外来語を取り入れやすい言語であるため、西洋の学問をいち早く取り入れて日本を発展させるため積極的に取り入れた明治時代の混沌によるものであるのだった。
また日本語自体も元々漢字を用いて作られた言語であるため余計、難しくなったとも言える
よって、日本人でもきちっとした定義が分からず曖昧なまま取り入れているのが現状のようだ。
その例をいくつか挙げておこう。
個人とは?
個人というと、自分一人というイメージをする方もいらっしゃるかもしれない。
しかし、個人は自分一人の意味だけではないのだ。
個人
1 国家や社会、また、ある集団に対して、それを構成する個々の人。一個人。「個人の意思を尊重する」
2 所属する団体や地位などとは無関係な立場に立った人間としての一人。私人。「私個人としての意見」
[補説]英語 individuale の訳語は「一個の人」から「一個人」を経て明治中期、「個人」に定まったらしい。
自分一人としての「individual」の訳語として広まったものの、
「個人」という言葉には、「集団に束縛されない一匹狼的な態度であり、特定の身分や階級に属する人間」という意味もある。
だからこそ、日本でよく「個人タクシー」や「個人旅行」という言葉を耳にする。
「個人タクシー」は、集団つまり会社に属さず自分で営業しているタクシーであり、
また「個人旅行」は、何もひとり旅という意味ではなく家族で自ら予約を取って旅行するものであるのだ。
個人主義と利己主義の違い
個人の定義を引用すると…
「個人主義」は自己の個性の発展のために他人の個性も尊重する、
特定の身分・階級に属する人を大切にする考え方
その一方で利己主義は、
自分自身や自分の周りの人たちの利益を中心とする考え方
利己主義は外来語を使って表すと「エゴイズム」と呼ばれることもある。
このように、実はだいぶ考え方に相違点があるのだ。
感想
同じ語源でも外来語として日本に取り入れられた時に意味が変化してしまい、
元々の意味がどっかいってしまったことも少なくない。
しかし日本語は外国の文化をいち早く取り入れることで技術や文化を向上させて、一端の島国でも世界の先進国の仲間入りを果たしたのであろう。
日本人の勤勉さや様々な国の発達した学問を学ぼうという熱心さがそうさせたのかもしれない。
あながち、色々な国の言語を取り入れるのに最適な言語であるのだろう。
そのような言語は、考えれば考えるほど奥深いのだ。
なんせ、様々な国の考えや歴史が詰まっているのだから…
参考文献
バイオロギングって何それ、バイキングじゃないの?〜「ペンギンが教えてくれた物理のはなし」渡辺佑基〜
今回は、物理の謎めいた話をバイオロギングの世界から深掘りしていこうと思う。
しかし、この本を読むまでバイオロギングという言葉すら聞いたことがなかったものの…
「ペンギンが教えてくれた物理のはなし」を学校の国語の先生がオススメにあげていたため、読んでみようと思ったのがこの本と出会ったきっかけだった。
(著者は理系で大学受験をしたものの生物選択で普通に生物の方が断然得意です。物理の知識は基礎段階で脱落いたしました。)
「ペンギンが教えてくれた物理のはなし」渡辺佑基(著)
第1章から第4章まではバイオロギングにより研究した動物の生態や研究の苦悩などが占めている。
バイオロギングとは…
BioLogを組み合わせた造語であり、動物に装着して人間ではなく動物自身がデータを集める事の出来る記録計のことである。 バイオロギングは元々ペンギンがどのように海に潜って餌を取っているかを観察するために作られたもの。
バイオロギングによって集められたデータによって、どのように自然環境で様々な動物が適応しているかをわかりやすく説明されている。
例えば、マグロは時速80kmで泳ぐとひと昔前の本では記載されているものの、
実際にバイオロギングによりマグロに記録計を取り付けたデータによると平均して10km前後でしか泳いでいない。
確かに瞬間の速度だと平均の3〜4倍のデータが得られたが、それでも時速80kmという数字はどこにも出てこない。
海の動物は水の中に生息しており、陸上の動物よりも水の抵抗を受けやすいため、泳ぐスピードはチーターの時速90km前後よりかは遥かに衰える。
また筆者は、バイオロギングの研究に明け暮れていた。
実際に動物に小型カメラを取り付けて回収するバイオロギング。
自然との戦いだからこそトラブルだけらだが、それでもめげずに研究に突き進む筆者の直向きさも書かれている。
第5章ではいよいよ物理チックなお話になる。
実際にバイオロギングにより得られたデータでいかに効率よく鳥は飛んでいるのか、海の中の動物はいかに効率よく泳いでいるのかなどを数字で示しているのだ。
少し物理基礎の内容(等加速度運動・エネルギー効率の計算etc.)も登場してきているが、そこまで忘れていたり知らなくても基礎的なレベルまで下げてくれているので、分かりやすい。
翼の生み出す揚力は「(空気の密度)×(翼の面積)×(速度)の二乗」
自然界の鳥たちにとって飛行速度を遅く出来ることは獲物を見つけやすかったり上昇気流に乗りやすかったりするメリットが大きい。
そうするには、翼の面積を広くすることで同じ揚力でも速度が遅くなる。
また、逆に翼の面積を狭くすると速度は速くなるため、獲物を追うときや急降下する時には翼を縮めるのだ。
自然界の鳥たちはその物理の内容が体感して分かっているのだ。
このように、この本は物理の話によって動物がいかに効率よくエネルギーを消費しているのかが改めて実感できるきっかけになっている。
感想
今までバイオロギングとは何かすらもさっぱり分からず、
すぐに食べることを想像してしまう食い意地の張った人間なのでタイトル通り「バイキング?」かとも思ってたが…
今まで実際に動物の生態を全て追えなかったため、観察できる「断片的な生態」をつなぎ合わせるしかなかったことでも、
バイオロギングにより「総括的な生態」を観察できるようになったため、今まで分からなかったことも発見されており、とても希望のある研究だと感じた。
しかしながら、動物の生態は摩訶不思議である。
まだまだ、動物の生態は全て解明された訳ではない。
動物は自然の環境の中でそれぞれ適応(適応放散・収束進化etc.)してきた。
そのことを解明することで自然の方程式に照らし合わせることで、私たちの生活に応用できるようなこともたくさんあるだろう。
例えば、「ヤモリの足」の原理を応用した「粘着テープ」
細い突起がたくさんあることで壁とファンデルワールス力という弱い分子間力が働くことで粘着するという仕組みである。
このヤモリの足を参考にすると、強度はとても強いものの簡単に剥がすことが出来るという優れものの粘着テープが開発された。
(ヤモリの足が永遠と壁にくっついてしまって離れなかったら、歩けないですもんね)
足の裏に細かな毛が1平方メートル当たり10万~100万本の密度で密生しており、さらに先端が100~1000本程度に分岐した構造を持つことが分かった。
先端の分岐した毛の密度は、同10億本以上。
この細かな毛の1本1本が、対象物に極めて近い距離まで接近するため、原子や分子間に働くファンデルワールス力によって接着する。
このように、生物や植物などの持つ構造や仕組み、形状などを工業製品に応用しようという生物模倣技術(バイオミメティクス)の研究や製品展開が急速に盛り上がっている。
しかし、私はその根底には生物を観察するバイオロギングの力も必要になってくると思っている。
私たちの生活をより豊かにするのにバイオロギングがひと役買う時代がやってくるだろう
参考文献
オンライン学習って続くの?マイナー言語を勉強するには、オンライン学習が最適!
今回は、私が苦労している言語学習について深掘りしていきます。
私自身英語と中国語とドイツ語(大学の第2言語として必修)を勉強しており、マルチンガルを目指してます!
しかし、新しい言語を学ぶ上で発音が難しかったり文法は分かっていてもリスニングとスピーキングが出来なかったりと独学では苦労が尽きません。
そこで、手軽に始められるオンライン学習を受講しています。
オンライン学習って続くの?
一番、皆さんが疑問に思われることはオンライン学習は「続くのか」ということです。
しかし、私みたいなズボラな人間でも楽しく会話することが出来るので、続きます!
また、自分の都合のいい時間で簡単に予約できるため空き時間を有効活用することが可能です。
テキストがついていたり、通信接続が上手くいかないなどのトラブルにもきちんと対応してくれたりするので安心して初心者も学習することが出来ます。
マイナー言語の学習は、独学が難しい!?
私自身、色々オンライン学習のサービスを提供しているサイトをいくつか見てまわり良さげなサービスを無料体験してみたのですが、
英会話オンライン学習サービスはたくさんあるが、
中国語オンラインサービスは英会話に比べるとどんと数が減り、
ドイツ語に至っては自分の希望に全く沿わなかった
ということが分かりました。
やはり一番需要が多いのは英語です。
それに比べて、需要が少ないマイナー言語はオンラインサービスの全体数は少ないです。
独学やオンラインサービスの情報が少ないとなるとますます勉強しにくい環境ですね。
今回はマイナー言語の1つであるインドネシア語に特化したオンラインサービスであるジャパネシアを徹底調査します!
そこで、ふとマイナー言語を学びたいなと思い、ネットでインドネシア語が学べるサイトを探していてたら、日本最大級のインドネシア語学習サイトである「ジャパネシア」を見つけました。
そのジャパネシアに「ジャパネシア ライブ カレッジ「通称:JLC」があるのを発見し初月無料なので早速勉強を始めることにしました。
ジャパネシアとは?
インドネシア語を分かりやすく学べるプラットフォームです。
インドネシア語は非常にシンプルな言語で、難易度は世界一簡単と言われています。
しかし、簡単だからインドネシア語を勉強しようと思ってもなかなか情報がないのが現状です。
(これはマイナー言語あるあるかもしれません)
そこでジャパネシアではオンラインという特徴を生かし、
「実際の現地の人たちと交流することで活きたインドネシア語を学ぶことが出来る」のです。
また、インドネシア語を勉強するモチベーションに繋がる旅行記事やお役立ち情報まで詳しく掲載されているためやる気に繋がります!
インドネシア語を学ぶ目的は?
簡単なのは分かったけど、日本で暮らしていていつ使うの?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、訪日インドネシア人の数は年々増えていっています。
2016年のデータでは1年に271,000人もの観光客が日本に来ています。
また、日本に出稼ぎにくるインドネシア人も増えています。
その人たちとのコミュニケーションを取るためにもインドネシア語は便利なのです。
(もちろん、日本に出稼ぎにやって来るインドネシア人は日本語も話せると思いますが…)
そして、インドネシア人の観光客をアテンドする仕事もこれから需要が増えてくると思います。
今は、日本人でインドネシア語を話せる人の数はとても少ないのでアテンド(観光客のお供すること)代は「ほぼ言い値」です。
だから、1日5万円としても需要は多いです。
(タイトルの週35万はここからきています)
ジャパネシアのサービス・料金形態とは?
やはり、オンライン学習サービスで気になるのは、中身と料金ですよね!
サービス内容
初級から上級まで幅広いレベルの教材バリエーションがあるため、飽きずに学習ができる
フリートークに参加できる(言語を学ぶ上で一番重要なスピーキングを上達させられる)
いつでも質問ができる(Fecebookでいつでも自分の書いた文章などを添削してくれる)
授業コンテンツが見放題!
インドネシアの旅行記事やお役立ち情報まで盛りだくさんのコンテンツを楽しめる(モチベーションに繋がる)
料金
入学金は無料
初月は無料で、月額5400円でジャパンシアのサービスが使い放題!
月額5400円は他のマイナー言語に比べると格段に安いです。
一般的に需要が少ないマイナー言語の方が、料金が高い場合が多いです。
また、一番需要が多い英会話オンライン学習でも平均して月に8000円程度かかります。
そう考えると、ジャパネシアは破格の値段と言っても過言ではありません。
まとめ
今回は、マイナー言語のオンライン学習について紹介いたしました。
マイナー言語の学習を続けるには、テキストなどの情報が古かったり量が少なかったりと独学だと限界があります。
しかし、オンライン学習をすることで活きた言語力を早く効率よく身につけることが出来ます。
時間が空いた時に、過去の授業がいつでも見れるのはかなり役立ちますね。講師も日本語ペラペラだし分からないことは何でも聞けます!
ぜひ、マイナー言語をオンライン学習サービスで学んでみてはいかがでしょうか?
どうして赤色は赤く見えるの?〜「文系でもよくわかる 世界の仕組みを物理学で知る」松原隆彦〜
今回は、物理の世界に想いを馳せてみようと思う。
なぜなら、自分自身がただ単純に全く知らない分野だからの一言に尽きる。
大学受験では生物を選択して、ろくに数学も出来ぬまま行きたい学部が理系だったため理系を名乗っている人間だからだ。
数Ⅲの加速度と速度と道のりを求める単元(微分・積分)があったが加速度からして理解しておらず式に当てはめて終了していたので、もっと根本から分かっておかないとすぐに忘れるだろうと思っていたのだ。
そこで本を読んで少しでも自分の知らない世界を考えてみようと思い、備忘録的な要素の強いブログを書いていきたい。
「文系でもよくわかる 世界の仕組みを物理学で知る」松原隆彦(著)
文系よりの私でも手軽に取れそうなタイトルに惹かれて読んでみた。
筆者は宇宙物理学を専攻していらっしゃる生粋の物理学者。
物理学自体ピンと来ないが、筆者はこの本の中で
物理学とはこの世の中の仕組みを知ろうとする学問だ。
同じように世の中の仕組みを知るためのものには、化学や生物学などいろいろあるが、なかでも、根本的なことをどんどん突き詰めていくのが、物理学である。
と述べている。
確かに、受験勉強で勉強した化学や生物は「今ある現象から何が言えるのか 」という後付けの論理の比重が大きい学問だが、
物理はその2つのもっと根本的な「なぜそうなるのか」を突き詰めている学問だと納得できる。
また、この本では私たちが日々生きている実生活においても物理の知識はたくさん使われていることを詳しく説明してくれているのだ。
具体例を示していこう。
どうして雲は落ちないの?
雲は雲粒と呼ばれる小さな水の粒々の集まりで出来ている。
(雲は水蒸気では出来ていない。なぜなら水蒸気だと目には見えないからだ。)
雲は体積が大きいため空気抵抗はあるものの、軽いためあまり加速度は速くならない。
よって空気抵抗の方が重量加速度(9.8m/s^2)よりも大きくなるため浮いているのだ。
化学だと力については全く考えないため、このような分析は出来ないだろう。
雲は水の粒々で出来ていることを「物質の三態」という単元で習うぐらいがせいぜいだろう。
どうして赤色は赤く見えるの?
物理学の観点から、この質問を説明するためには「波長」がキーワードになる。
物に当たった太陽光や照明のうち、吸収できずに反射された光を見ている。
また、波長が長い赤色はまっすぐ進み、波長が短い青色は拡散するなど色によって波長は異なる。
しかし、生物学では同じ現象でも、色を識別する「錐体細胞」と明暗を識別する「桿体細胞」の2つがあり、錐体細胞が赤色の波長を感じて赤色だと認識すると学ぶ。
このように、同じ事象でも見方が全く違うのが科学の面白い部分なのかもしれない。
どうやって液晶ディスプレイは色を発しているの?
普段の生活には欠かせないスマホやテレビなどに必ずと言っていいほど使われている液晶ディスプレイ。
液晶ディスプレイの仕組みも実は物理学を応用しているのだ。
液晶というのは、液体と固体の中間の物質である。
化学では「物質の三態」の単元で「超臨界流体」という固体でも液体でも気体でもない物質の状態があるが…
2枚の偏光板(縦・横)を電圧をかけたりやめたり、強さを変えることで動かし液晶分子の配列を変える。
そうすることで、特定の光を遮断したり強めたり弱めたりして光の三要素である「赤・青・緑」を発しているのだ。
感想
自分には縁遠いと思っていたものの、実生活において普段は意識したことのないところで物理が応用されていたということに気づけたため、少し興味が湧いた。
しかし、原理を学ぶのはすごく難しいイメージがまだ拭えておらず…
高校で勉強した物理基礎が難しかった印象があるため、どうしても二の足を踏みがちですが、様々な本から少しずつ勉強してみようと思う。
現代社会ではIT化が進んでおり、スマホやPCなど電子機器に囲まれて過ごす機会が多くなった。
しかし、使っているにも関わらずスマホやPCの縁の下の力持ちである「液晶ディスプレイ」など全く知識のないまま、使ってる。
だからこそ、物理が日常生活に大いに関わっていることがこの本によって改めて気付かせてくれた。
また、同じ現象でも生物学から、化学から物理学からとみる視点を変えることで色々なことを多角的に捉えることも面白いなと思った。
日本の研究形態は分野ごとに細分化されており、他の分野の人同士の交流が少ないように思える。
科学としてひとくくりに多方面から物事を捉えることで、面白い発見ができるのではと期待している。
参考文献
コロナウイルスは収束するのか?〜「ウイルスは生きている」中屋敷均〜
近年、専らニュースで話題になっており私たちの日常を脅かし続けている「コロナウイルス」
今回は、昔のパンデミックの格闘の歴史やウイルスの構造面などから「コロナウイルスは収束するのか?」について個人的な想いを述べていきたいと思う。
「ウイルスは生きている」中屋敷均(著)
「我々ヒトは一体何者なのか?」
「ウイルスは何者なのか?」
筆者は、冒頭部分で一見単純そうに見えて実は深刻で奥深い問いを掲げている。
それについて詳しく説明している。
「我々ヒトは一体何者なのか?」
ヒトはDNAを持っているが、感染したウイルスも持っている。
また、生命の呼吸に欠かせないミトコンドリアも細胞内共生によって手に入れている。
ヒトは親からDNAだけではなく感染したウイルスや共生したミトコンドリアをも引き継いでいるのだ。
だから、ヒトは「動物とウイルスのキメラ」とも呼べるのかもしれない。
「ウイルスは何者なのか?」
一般的にはウイルスは生物と非生物との中立的な存在とも言われているが、著者は「ウイルスは生きている」と断言している。
ウイルスは細胞構造を持たず、代謝も行わない点において生物の条件を満たさないと考えられる。
しかし、「ウイルスは生きている」と断言している理由について筆者は以下のように述べている。
「生命の鼓動」を奏でる存在であり、時に細胞生成物と融合し、時に助け合い、時に対立しながらも、生物進化に大きな彩りを添えてきた。
もし、その「生物の輪」が本当に一つの現象であるのなら、ウイルスは疑いもなく、その輪になくてはならない重要な一員である。
なぜパンデミックは起きるのか?
コロナウイルスのようなパンデミックは今に始まった事ではない。
ヒトとウイルスは対立をしながら共に進化してきた歴史があるのだ。
その歴史から少しこの後のコロナウイルスについて自分の想いを述べていきたいと思う。
スペイン風邪
スペインで流行したからスペイン風邪と名付けられているものの、スペインではなくアメリカ発祥のものである。
当時は、インフルエンザウイルスが作用したとしか考えられていなかったが、
ヨハン・フルティン(ストックホルムの医師、アイオワ州立大学で免疫学を専攻)や
ジェフリー・トーンバーガー(PCR法の生みの親)などの活躍により、
このスペイン風邪のウイルスはHINI型A型の鳥インフルエンザウイルスと特定された。
このスペイン風邪は今大流行しているコロナウイルスと相似点がいくつかある。
- 若い世代(20〜20代)の感染が目立ったこと
- 当時の人口18億人のうち約3億人が感染し、2000〜5000万人が命を落としたこと
- 他の動物からのウイルスが突然変異によってヒトに感染したこと
まず、1つ目は若い世代の感染が目立っていることである。
スペイン風邪もコロナウイルスも若い世代の感染が他のウイルスと比べて多いのだ。
他のインフルエンザウイルスだと高齢者が重症化になりやすいが、新しいウイルスはそのような通説に関係なく若い世代もかかるのだ。
双方ともに、年齢別の感染者度合いをグラフにするとW型になる。
引用:新型インフルエンザA/H1N1pdmの死亡者が200人に達する:日経メディカル
また、2つ目の感染者数や致死率についても、スペイン風邪の場合はそこまで正確な致死率が不明だが、コロナウイルスとよく似た数値が算出されるだろうと考えている。
3つ目については以下で詳しく説明する。
ウイルスの特徴「ホストジャンプ」がパンデミックの原因だ
この著書では、ウイルスの特徴である「ホストジャンプ」がパンデミックなりウイルスが流行する原因だと述べられている。
ホストジャンプとは、ウイルスが変異して新しい宿主への病原性を得るということだ。
他の動物からのホストジャンプによる感染が原因だと言われている。
スペイン風邪は鳥から、コロナウイルスでは詳しくは判明されていないもののコウモリの一種からホストジャンプによって人に感染したと考えられている。
そこで、「どうやったらコロナウイルスのようなパンデミックは収束するのか?」という疑問のヒントはウイルスの性質にあると考える。
宿主であるヒトがウイルスの獲得免疫を得たり、抗体を生産したりすることによって耐性が向上することが1つである。
しかし、ウイルスも先ほどの説明のようにホストジャンプをして生き残ろうとするため他の形に変化してまた脅かそうとするだろう。
だが、どのウイルスは一定の期間を過ぎるとウイルス自体の致死性を大幅に低下させる性質を持っているのだ。
なぜなら、ウイルスはいきた宿主の細胞の中でしか増殖できないため、宿主を殺してしまうと自分も存在できなくなるのだ。
だから積極的に宿主であるヒトを殺すウイルスは存続できないため自然淘汰されるだろう。
パンデミックを起こすようなウイルスはホストジャンプにより宿主の中でどう振る舞えばいいのか分からなず暴れているちょっとアホなウイルスである。
感想
日本では、7都道府県に緊急事態宣言が発令された。
これからも7都道府県に限らず加入する都道府県は増加する予定である。
この内容は、単純に言うと「家にいろ、不要不急の外出はするな」ということだ。
私は、この外出をしないということはウイルスを撃退する上ではとても効果的だと思っている。
この本を通じて、家にいることは自分自身の身をウイルスから守るためだとしか考えていなかった。
「いつまでこの自粛が解除されるのか」「その時期の判断の定義は何なのか」など曖昧な部分があり腑に落ちずにいた時もあった。
しかし、この本を読んでコロナウイルスが宿主であるヒトを殺してしまうと自分も存在できなくなり、自然淘汰されるまで耐え忍ぶしか方法はないだろうと納得できた。
ウイルス自体の致死率が大幅に低下するには時間がかかる。
だから今こそ Stay Home を!
参考文献
個人的に感動した物語を勝手に選んでみた!その2〜「青い鳥」重松清〜
今回は、前回に続き「個人的に感動した物語シリーズ第2弾」を決行します。
kobayashinitya.hatenadiary.com
今回は、私の大好きな作家でもある重松清さんの本から一冊
「青い鳥」重松清(著)
中学校の非常勤講師として国語を教える村内。
村内には、カ行とタ行から始まる言葉がつっかえてしまう言わば「吃音」と呼ばれる症状がある。
だから学校の国語の授業ではいつもつっかえてばっかりいる。
しかし、村内先生は決して学校の授業をするためだけに来てるのではない。
ひとりぼっちでいる生徒にそっと寄り添うため・そばにいるため
に来てるのだ。
そのために、村内先生は色々な学校に回ってそんな生徒に寄り添うことをしている。
うまくしゃべれないからこそたいせつなことしか言わないの
村内先生は吃音のことで生徒からバカにされたり、伝えたくても全て伝えることができなかったりすることもよくある。
しかし、大切なことはきっと生徒に届いているはずだ。
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